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今週の親仁ギャグ・2020年11月8日(日)~11月14日(土)

●「才色兼備(2)
▼今回の「親仁ギャグ」は落ちに腐心しております。(何度もアップし直しております)。それと云うのは読み物の粗探しの譚なのですが、先月25日の日経新聞1面のコラム「春秋」を読んでいたら次なる文章に仰天したのですが・・・・・・実は吾輩の早とちりならまだ救いようがあるのですが、実は吾輩の無知の露呈だったのです。

梅太郎「その文章とはどんなものなんですかわん?」

主人先生「それはな、『「ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲」(佐佐木信綱)。カメラが1300年前の建物にズームしていくようだ。「凍れる音楽」と評される国宝の東塔。約10年の修理を終えて優美な姿をあらわしたが、春の落慶法要はコロナ禍で延期となってしまった。例年、修学旅行生らが行き交う寺内はひっそり。その一隅で興味深い解説を見つけた。本尊の薬師如来の台座についてである。(以下略)。』というものじゃ。その中の『寺内』と云う漢字なんじゃがな、正直、吾輩は『寺内』とはな、『寺内貫太郎一家』と人の名字くらいしか知らんかったからの、『寺内』は誤字で正解は『境内』じゃろと信じきっとたんじゃなそれはそれは。しかしな、その名誉挽回とまでにな、物凄い粗を探したんじゃな」

梅太郎「それはそれは是非教えて御覧じろわん!」

主人先生「それはな、今読んでおる山岡荘八著の『源頼朝(2)』(講談社)の214ページにあるのじゃがな、『土左衛門さまのことよ。それも大人ではない。可愛らしいい子供のお客様じゃ。(略)』。これはな、川奈の富戸の浜での源頼朝と地元漁師との会話なのじゃ。松河の轟ケ淵に沈められ水死した子供が流れ着いたのである。子供は頼朝と伊東祐親の娘・八重姫との間に生まれた3歳の男子、千鶴丸。殺したのは伊藤祐親で、祐親は伊豆の蛭ケ小島への流刑人、頼朝の監視役であった人物なんじゃ」

梅太郎「それは一体いつ頃の時代の譚で、なにがどのような粗なんかわん?」

主人先生「頼朝公じゃからの、鎌倉の時代じゃ。この事件は頼朝が29歳の時でな、1174年(承安4年)じゃな。この譚の粗はな、『土左衛門』じゃ。土左衛門はな、辞書にな、『享保(1716~1736)の頃の力士成瀬川土左衛門が太っていて肌が白かったのを溺死者のようだといったことからいう。溺死者。水死体。』・・・・・・と書いてあるんじゃ。ここまで言えば梅も理解できようもんじゃな。そうじゃな、鎌倉時代には土左衛門は存在してなかったんじゃ。だから鎌倉時代を背景にした土左衛門が登場するのはおかしいのじゃ。いくら小説でも、紫綬褒章受賞作家が間違ったらいかんのじゃ」

梅太郎「内容は分かりましたわん。それで名誉が回復されたかどうかは別として、主人先生がご満悦なようなのでなによりでわん! で落ちは???」

主人先生「それじゃよ、困ったもんじゃ。そうじゃな、坂本君は現代の頼朝公ってことで許してもらえんかの」

11月13日。

●「才色兼備(1)
▼「才色兼備」・・・・・・なんとも響きのいい言葉じゃありませんか。意味は「すぐれた才能をもち、顔かたちも美しいこと。普通、女性にいう。」(三省堂 スーパー大辞林)です。最近の話題での「才色兼備」は「いまのキミはピカピカに光って」の宮崎美子でしょう。文春の記事によれば東大合格もあったほどの才女ですぞ(大学は地元の熊本大学でした)。

梅太郎「主人先生よ、きょうもコンビニでスポーツ新聞を買ったようで? 美子ちゃんのピカピカのビキニ姿でも載っていましたかわん?」

主人先生「いやいや『いまのキミはピカピカに光って』はな、YouTubeで何度も視たからな、今よりもムチムチ(失礼、モチモチじゃ)でふっくらしていたぞな。<篠山紀信が撮る!週刊朝日”キャンパスの春”>に応募し約千人に中から選ばれたということじゃ。熊本大の3年時、1979年秋の事じゃ。週刊朝日の表紙写真がミノルタの担当者の目に留まり、『青色のビキニ姿に包まれた豊満な肢体』(文春記事)がCMで全国に流れたのじゃ。梅太郎よ、勘違いするなよ、きょうのスポーツ報知はな、坂本勇人の史上2番目に若い年齢での2000本安打達成の記事を読みたかったのじゃ。美子ちゃんの記事はまったく載っておらんわん!」

梅太郎「坂本勇人選手と『才色兼備』と如何様な関係があるわん?」

主人先生「それがな、坂本選手の記事の中でな、『才色兼備』との中見出しがあったのじゃな。男性にも『才色兼備』がご法度ではないのじゃがな、ふつうは女性専用じゃ。ちなみに坂本選手の場合は、選手としての才能はもちろんじゃがな、男前としてもなかなかのもんでな、女性ファンが放っておかないんじゃ。月間ジャイアンツに写真でも載ろうものなら、着ている衣服の問い合わせが殺到するらしいぞ。そのほかにもなミスターの特別寄稿もあったし、国民栄誉賞の松井秀喜さんの記事もあったしな、新聞の半分か3分の2は坂本選手が占めていたぞな」

梅太郎「それはそれは結構なことで。ところで主人先生が感心したのは『才色兼備』を男性に使ったということわん?」

主人先生「そうなんじゃよ、なにしろ人生61年、『才色兼備』なる言葉が男性に使われたのは初めてじゃからな。女形の歌舞伎俳優にも使われんじゃろ。今朝のワイドショーでもな、最近テレビモテの研究者が妙な日本語を使っていたぞ。いま北海道で新型コロナの第3波が襲来しているけどな、その研究者はな、『東京も何も対策を打たずに北海道を指をくわえてみてりうようなら、2週間後には二の舞ですよ』との趣旨のコメントを述べていたが、これを聴いて吾輩はすぐに電子辞書を手にしたんじゃな」

梅太郎「どこもおかしくないように思えるがわん? 勿体ないぶらずに教えてわん」

主人先生「それはな、『指をくわえる』じゃ。『うらやましく思いながら、何もできずにいる』(スーパー大辞林)と云う意味じゃからな、北海道のコロナ感染拡大を羨ましく思っていることいになるからな。これはまずい失言じゃろ。あんまりコメンテーターとしては褒められたのんじゃないな。重箱の隅をつつくわけじゃないけど、吾輩を含めて大の大人が間違った日本語を使うのは見っともないことじゃ。『才色兼備』はスポーツ新聞じゃしな、面白おかしくそれもありじゃ。週刊誌も首を傾げる文言が少なくないぞな。広辞苑など辞書の類もな、改定されると間違い探しに没頭するひとが少なくないらしいからな。これも立派な趣味の範疇じゃな。」

梅太郎「主人先生よ、読み物の類にまでそれほど神経質になっちゃ、面白みも何もないんじゃないですかわん?」

つづく。2020年11月9日。

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