コンテンツへスキップ

今週の親仁ギャグ・2020年7月12日(日)~7月18日(土)

●「コロナ終息の展望
日本人がコロナに感染しにくいか、もしくは感染しても発症しにくいか、あるいは軽症で治まるのかのキーワードが「広域交叉反応性メモリーT細胞」と言われるようになっています。昨日(7月16日)のニュースでは、英オックスフォード大学製造ワクチンの臨床試験の暫定結果を発表し、中和抗体の上昇だけでなく、このT細胞の免疫システムの生成が確認されたとのことです。

金之助「そのT細胞とやらメモリーT細胞とやら、初耳でなんとも難し気な言葉じゃにゃん。金之助も毎年3種ワクチンをちくっと打たれているにゃんが、チンプンカンプンにゃん、にゃにがにゃんやら?」

主人先生「分かり易く云うとな、ワクチンを打つと中和抗体が産生されるのじゃが、もし抗体が消失してもな、そのメモリーT細胞というのは体内に記憶されて再度ウイルス(病原体)が侵入してきた際にすばやく反応してウイルスを攻撃、排除するのじゃ。T細胞にはメモリーT細胞の他にキラーT細胞とかヘルパーT細胞と云うものも存在し、これらはサイトカインなどの免疫活性化物質などを分泌して侵入したウイルスが局所増殖する前に殺すのじゃ」

金之助「キラーとか怖ろしいネーミングにゃん。それでも今回のコロナは手強いじゃじゃにゃん? 1918年のスペイン風邪はどうのような経過で終息したにゃん? 歴史に学ぶところは常に馬鹿にならないにゃん」

主人先生「そうだそうだ、日本のスペイン風邪は欧米から侵入してきたのじゃが(最初のエピセンターはアメリカかフランスとの2説あり)、当時のヒトの移動手段は主に船舶であったから、1918年1月に始まったエピデミックが日本に到達したのはその年の10月じゃ。第1派が1918年10月~1919年3月2派が1919年12月~1920年3月3波が1920年12月~1921年3月じゃった。日本では当時の人口が約5500万人で、うち約2380万人が感染したとされ、死者は35万人とも50万人とも云われているんじゃな。世界では約20億人中5億人が感染し、1700万~5000万人が死亡したのじゃ。2つの大戦に匹敵する死者じゃから相当じゃな。(日本人の35万人は、日露戦争の戦死者が9万人、東京大空襲が10万人じゃからの、スペイン風邪の猛威が分かると云うもんじゃ)。そうじゃった、問題はどのようにして終息したのかじゃな。それはな、多くの人が感染して抗体が形成される(集団免疫)が一番じゃが、当時の高齢者の死亡率は低かったのじゃな、この原因がT細胞に関係しとる可能性が高いのじゃな。1889年に流行したロシア風邪の獲得免疫じゃとされているのじゃ」

金之助「そうですか、メモリーT細胞の免疫システムとはそんなに長くもつんですにゃん? ところでスペイン風邪のウイルスはその後何処へ行ってしまったのですにゃん?」

主人先生「それがな、今も生き続けているのじゃ。実はな、2009年パンデミックとなった新型インフルエンザと同じH1N1型なのじゃ。そしてな、100年前の科学(ウイルス学)ではな、ウイルスの分離もできなかったし、抗体の検出も不可能じゃったのじゃ。抗体は1930年代になって、分離は1997年8月に至ってじゃ。前者は保存血清から、ウイルスはアラスカの凍土から見つかった4遺体からじゃそうな

金之助「科学は進歩したけど、世界の今の状況を見ると、根本的な解決策はソーシャルディスタンスとかマスクとか隔離とか、当時の政府の対策とあまり変わり映えしないようですがにゃん」

主人先生「結局のとどのつまりなは、やはり相当のヒトが感染するのと、何と言ってもワクチンじゃな。コロナの中和抗体はインフルエンザ同様に数カ月のもたない可能性が高そうじゃが、T細胞系免疫システムは数年もつとされるから、これに期待するしかないようじゃな。それとな、これも大事なことなんじゃが、スペイン風邪のH1N1型インフルエンザはな、今の亜型H1N1に比べて30倍も増殖力が強かったそうな。コロナもインフルエンザ同様に変異しやすいウイルスじゃからの、病原性が弱ってくれるのはけっこうじゃが、反対に強まるようじゃ大変じゃな。まあ、いずれにしても完全終息には、最低3年はかかるんじゃないか」

金之助「その間、主人先生はどのように巣ごもりするにゃんか?」

主人先生「このつづきは、また来週じゃな」

つづく。7月17日。

ウィルスなどに感染した細胞を見つけて排除します。T細胞は、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞(レギュラトリーT細胞)の3種類があり、それぞれ司令塔、殺し屋、ストッパー・クローザーの役割があります

キラーT細胞
樹状細胞から抗原情報を受け取り、ウィルスに感染した細胞やがん細胞にとりつき排除する、という「殺し屋」の働きを持っています
ヘルパーT細胞
樹状細胞やマクロファージから異物の情報(抗原)を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生して、攻撃の戦略をたてて指令を出します
制御性T細胞
キラーT細胞などが、正常細胞にも過剰な攻撃をしないように、キラーT細胞の働きを抑制したり、免疫反応を終了に導いたり、というストッパー・クローザーの働きを持っています

以上、「テラのがん免疫療法情報ガイド」を転写。

先頭へ