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今週の親仁ギャグ・2013年9月29日(日)~10月5日(土)

中国産米を混入した「コメ産地偽装」問題。やっぱり絡んでいた影の主犯。中国産米が混入した弁当などを販売したのは流通大手の○○○。この事件のからくりは想像に難しくない。半沢直樹の銀行が○○○に変っただけのこと。○○○に限らず大手スーパーは生産者や卸業者をとことんいじめ抜いて仕入れ値を下げる。埃もでないほど叩きに叩いて納入価を下げさせる。「取引先はあんたとこだけじゃないからね」なんぞと決まり文句で脅す。彼らに禁じ手なんてものは存在しない。米に限らず「売り出し商品」「特売商品」で定番の卵も豆腐も牛乳も何から何までが仕入れ値を抑えられているのだ。卸しのほうもバカ正直ではないから悪智慧を絞る羽目になる。手法は品質をワンランク下げるとか、古いものを混ぜるとか、添加するとか、煉り物の配合を変えるとか、今回のような産地偽装とか、いろんな技を使う。「安売り王」とか「大手スーパー」とかいう連中は「安売り」で消費者の生活のためと神様気取だが、真相はその逆。デフレを演出しているのも彼ら。8%の消費税でさらなる窮地に追い込まれるのは生産者と一次加工業者や卸問屋だ。大手スーパーよ、良識あるジェントルたれ。10月5日。

吉村昭著の「破獄」。主人公の佐久間清太郎(モデルは白鳥由栄=しらとりよしえ元受刑者)は昭和11年に青森刑務所、昭和17年に秋田刑務所、昭和19年に網走刑務所、昭和22年に札幌刑務所を脱獄。警備が厳重で設備も頑丈な網走刑務所を逃走したのは彼が最初。4度目の札幌刑務所も彼のために独房を改良したにもかかわらずである。1回目の青森は「合鍵づくりについては、驚くべき方法がとられていた。かれは、入浴時に手桶にはめられていた金属製のたがをひそかにはずして房内に持ち帰り、かくした。ついで、入浴後、房に入る時に湯でふやけた掌を錠の鍵穴に強く押しつけ、その型をとり、さらに入浴中、臀部をあらうふりをよそおってたがを床のコンクリート面で摩擦し、合鍵をつくった。」(p28)。2回目の秋田は「守宮(やもり)を考えてくださればいいですよ」(p91)「頭を上にして這いあがってゆくのだろう、と想像していたが、ちがっていた。かれは少し体をかたむけて、両足の裏を一方の壁に押しあて両掌を他方の壁に密着させた。そして、足裏と掌を交互にずりあげてゆくと、体が上方にあがりはじめた。・・・やがて体がかたむいたまま天井に達し、力をこめて手足をふんばると、片手を電球にのばしてゆるめたり、しめたりした」(そうして天井の明り窓の木枠を外して独房を脱出した)(p395)。3回目の網走は、特製の手錠に「かたくしめつけられたナットが、どのような方法ではずされたのか、刑事は入念にしらべた。ナットは深くうちこまれていたが、床におかれたナットをしらべてみると、意外にも腐蝕していた。その腐蝕の度合は、長い歳月を経なければそのような状態にならぬはずであった。刑事は、ナットを見つめ、指先でふれ、表面に湧いている錆をなめた。独房の中がさぐられ、刑事は、湯呑み茶碗に眼をとめた。底にわずかであったが、黄色い液がのこっていた。それを嗅ぎ、指にふれてなめた刑事は、『味噌汁だ』と、つぶやくように言った。」(p176)。4回目は「脱獄の準備をはじめたのは脱獄の数日前からで、便器のたがをはずし、釘できざみをつけて鋸をつくった。それを使用し、二日間で床板をひき切った。三月三十一日午後九時すぎ、板を引きあげてそのすき間から床下にもぐり、食器で土を掘りすすんで獄舎の外に脱出した。」(pp329-330)。さらに「高い塀をこえる方法をたずねると、佐久間は塀ぞいにななめに駆けあがれる、と答えた。また床板などの釘をぬきとるのも、指を釘の頭に強く押しつけて回転することをくりかえせば容易だ、と言った。」(p396)。以上は、親仁がこの「破獄」を読んで不謹慎にもあまりに感激したものだ。事実、無期刑囚人の佐久間清太郎は一部の庶民や囚人から英雄視された。この本のなかで吉村昭は、(戦前戦中ということもあって)囚人が道路工事や魚市場(鯡)での作業、造船業務など多岐にわたって従事したことを書き連ねている。戦争という国難に際し、彼らの愛国心は少しも劣るものでないことを物語っている。10月4日。

学会を兼ねた体力保養旅行で2泊3日の東京逗留。行きは時間の都合でANAの787に乗ったは良いが、その610便は宇部-羽田間でバッテリートラブルを起こし、高松空港に緊急着陸したものと同機体であった。それも機体の不具合で整備に時間が掛かり、予定より約1時間遅れの離陸となった。ところで、以前話題にした政府専用機の候補に上がっているのがこのボーイング787を含む3機種。残りの2機種は大型のボーイング777と中型のエアバスA350燃費の優位性と日本企業の技術が多く搭載された787に決めて欲しいものだ。優良な「トリプルセブン」に比し、「トラブル787」にならぬよう願いたい。今のジャンボジェット(747-400型)は米国の対日赤字対策の一環として2機を360億円で購入した。1991年のことだった。このジャンボは燃費の悪さや2019年度以後は整備が受けられなくなるため、機種選定を迫られている状況にある。787の利用は今しばらく不安だが、立花隆氏によれば、万全の対策は施されているそうだ。興味ある方は文芸春秋2013年8月号の「麻酔とボーイング787」(pp77~89)を読まれたし。この日の787は国際線仕様で快適な乗り心地でした。国の面子(ステータス)も重要なのでジャンボ運用開始までのようなチャーター機利用という選択肢はない。天皇や首相の利用に限らず、もっと広範な活用も考慮してもらいたいが・・・。9月30日。

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