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今週の親仁ギャグ・2013年11月17日(日)~11月23日(土)

動物病院は完全自由診療である。獣医師会によっては支部ごとにワクチンやフィラリア予防薬、ノミダニ駆虫薬、去勢・避妊手術代などを暗黙(彼らは決してカルテルとは言わない)の了解という、(誓紙でない)闇の談合で決めている。だから、自由診療にもかかわらず、支部によっては同一料金である。この場合の多くは高い料金設定がなされる。今回の逮捕劇のように手術が絡む例では、同じ診断名で術式も同じであるにもかかわらず、治療代は日本全国でまちまちである。例えば椎間板ヘルニアでは、地方で5万円の病院もあれば、都心では100万円もあり得る。避妊手術で1週間あるいは抜糸まで入院させ(飼い主の希望であることもある)10万円を超える病院もある。ある病院の避妊手術が他の病院の去勢手術よりも安いとか、ある病院の犬の避妊手術が他の病院の猫の同手術よりも安いということも珍しくない・・・・・のがこの業界の常識である。手術の難易度が高い疾患であればある程、飼い主とのインフォームドコンセントが成り立てばいくらでもOKの世界である。そこで問題なのが保険加入の場合、人の皆保険制度と類似して飼い主の実負担が保険でカバーされるため、飼い主側は動物病院からの請求代金が少々高くても「保険が利く(ある)からまあいいか」と思い、請求する側の動物病院は「ちょっと吹っ掛けてみるか」という心理が働く(・・・そんな獣医師がいても不思議ではない)。そこで問題は、レセプト制度の無い小動物獣医療業界(牛などの産業動物ではレセプトが存在する)では、保険会社(今回は最大手のアニコム)に提出された保険請求書と診療明細書を見るだけの審査となる。疑問や不信な点でも保険会社が動物病院に電話して質問するだけで、レントゲンフィルムや血液検査の項目チェックは皆無なのが現状である。これはアニコムに限ったことではない、全ての会社に共通する。今後は診断名によって保険支払額の上限を決める、診察回数を限定する、レントゲンフィルムや血液検査などその他の検査結果について提出義務を課す、各県1名以上の社員を常駐させ審査体制を強化する、保険会社は臨床経験豊富な獣医師を採用する・・・などの改善策を設けないと保険会社は経営がもたないな。「保険会社が動物病院のための存在であってはならない。動物と飼い主のための保険でなくては!」つづく。11月20日。

●「動物の上腹部(胃)とレントゲンのカセット(フィルム)の間に針金などの異物を置いて撮影すればどうなるか」。レントゲン室は密室だから、どんな細工も可能だ。これは極端なケースだが、その気になればどんな病気も作製できるし、ましてや獣医師と飼い主が結託すれば尚、話は簡単だ。これは動物病院に限ったことではないし、人の病院でも同類の事件があったし、医療ばかりでなく交通事故や生命保険の保険金詐欺も同じ穴の狢(むじな)。今回の動物病院での場合はやや特殊なシステムがかかわる。国民健康保険や社会保険では医療点数が決まっているから、法外な請求はまず不可能だ。そして人の医療では「レセプト」という審査制度が確立されている。では、そのレセプトとは・・・いつものWikipediaのお世話になると、「レセプト(独:Rezept)とは、患者が受けた診療について、医療機関が保険者(市町村や健康保険組合等)に請求する医療報酬の明細書のことである。診療報酬明細書(医科・歯科の場合)又は調剤報酬明細書(薬局における調剤の場合)ともいう。医療機関では単にレセということが多い。レセプトは患者氏名、保険者番号や病名等を記入した上書き部分と診療報酬点数、療養の給付、食事・生活療養の欄で構成されている。」とある。つづく。11月20日。

●やはり今日のビッグニュースは「軽減税率」だな・・・そんな馬鹿な。やはりやはり・・・これだ。「ペットがけがをしていることを隠して保険に入るよう飼い主に勧めた上で、虚偽の診療明細書を基にペット保険会社から保険金をだまし取ったとして、滋賀県警草津署は20日、詐欺の疑いで、草津市新浜町の獣医師で動物病院院長○○○(46)を逮捕した。ペット保険は近年加入者が急増しており、詐欺事件で摘発されたケースは全国で初めて。逮捕容疑は2011年4月21日、経営する病院で右前脚を脱臼したイヌを診察。その時点では診察をしなかったことにして飼い主に保険に入るよう勧め、保険加入を確認した後、けがをした時期が保険加入後とする虚偽の診療明細書を、飼い主を通じて保険会社に提出。5月下旬に入院・手術費など37万2千円の保険金をだまし取ったとされる。・・・保険会社は、業界最大手のアニコム損保(東京都)。ペット保険への加入に際しては、飼い主側から、申し込み時点で治療中や経過観察中のけが、病気などがないことを告知する義務がある。県警は昨年12月、アニコム損保から告訴を受けて捜査していた。飼い主だった県内の60代女性にも任意で事情を聴いている。(中日新聞)」。つづく。11月20日。

●「歴爺」が最も最近読んだ文庫本は「落日燃ゆ」(越山三郎著・新潮社)。1948年12月23日0時21分にA級戦犯として絞首刑された広田弘毅(1878-1948)元首相・元外相の生涯を綴っている。(歴爺としては、読んで心躍るのはやはり戦国時代と幕末だが・・・)。安倍ちゃんが再帰して俄に改めて勃興しつつある戦前の国家主義的文言。「特定秘密保護法」も「集団的自衛権」も「積極的平和主義」も「A級戦犯合祀・靖国参拝」も・・・全体として捉えれば、戦前戦中に回帰するのではという危惧が生じる。城山三郎(1927-2007)は広田弘毅に好意的な見方、すなわち死刑の判決は重過ぎる、それほど開戦や戦争続行や南京大虐殺などに加担していないとの見解であろうか。(実際の東京裁判=極東国際軍事裁判における票決でも、「絞首刑の判決を受けた七人中、六人までが軍人で、いずれも判事団の票は、七対四で死刑に決した。ただ一人の例外が、文官である広田で、票決は六対五のわずか一票差による死刑であった。」(同著p428)・・・が。広田弘毅は裁判中、自身に対しても他の戦犯についても弁護的な発言は殆どしなかったという。岳父が玄洋社という国家主義的な右翼団体に関係し、広田自身も関連があったのではないか(妻・静子氏は東京裁裁判開廷前に自殺している)・・・日中戦争開戦や南京大虐殺時に重要ポストにありながら、統帥権の独立を楯に暴れまわった関東軍を鎮められなかった・・・などの理由による(「侵略戦争の共同謀議」、「満州事変以降の侵略戦争」、「戦争法規遵守義務の無視」の三つの訴因で有罪と判定)。絞首刑直前に東条英機ら他の6人が「『天皇陛下万歳!』と『大日本帝国万歳!』とそれぞれ三唱し、・・・」(同p443)たのに対して、城山は「広田弘毅はなかった」としているが、絞首刑に立ち会った教誨師で浄土真宗本願寺僧侶の花山信勝(1898-1995)は「広田も三唱をした」と著している。・・・・・いずれにしてもこのような「小」の問題にしろ、どうして日本が侵略戦争に暴走したのかというような「大」の問題にしろ、「戦争の総括」をしていないから、いつまで経っても全ての問題が棚上げで尻切れトンボになるのだ。安倍ちゃんの祖父の岸信介元首相(終前戦中は満州国高官・1941年東条内閣の商工相)は、A級戦犯被疑者として3年間拘留されながら、7人のA級戦犯が処刑された翌日の1948年12月24日に釈放され、その後首相を務めたが、CIAから資金提供を受けていたという。大叔父(従祖父)の佐藤栄作元首相の沖縄返還に絡む機密文書については現政権もその存在を認めようとしない。安倍ちゃんが何を考えているのやら(恒久的平和希求者かどうか)、怪しいもんだなつづく。11月17日。

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