コンテンツへスキップ

2010年1月15日(金)-ペットに纏わるちょっといい話-その2

 平成11年(1999年)4月16日、「約3週間前に外出し、翌日帰ってきたが、排尿ができない。」とのことで、8ヶ月齢の雄猫の「キキ」が来院した。「帰宅直後から様子がおかしいので、近所の動物病院へは行ったのだが、???」とのこと。レントゲンを撮ると、仙椎の骨折が明らかである。排尿は複雑な神経回路によって制御されている。脊髄での反射中枢が仙髄(仙椎内の脊髄神経)にある。仙椎は3つの脊椎が癒合した形で骨盤の仙腸関節により固定されている。 
 仙椎の骨折で仙髄が損傷を受けると、排尿のメカニズムに支障を来たし、排尿困難となる。「キキ」は正しくこれだ。以後、同年5月19日まで通院での排尿処置(カテーテルでの導尿)を行った。仙髄の損傷では会陰部のペニスや、当然ながら尾への神経支配も喪失する。「キキ」にとっては、これが「不幸中の幸い」で、ペニスの痛みなどの感覚が麻痺しているため、家での導尿処置が可能であった。以来、現在(2010年1月)までの10年9ヶ月間、正月であれ何であれ、毎日、家族で導尿処置を行っている。これが動物愛護の真髄でなくして何であろう。頭が下がる。
 尿が出ない「キキ」は、深い家族愛で「危機」を乗り越え、今は日南で生後12年目の春を迎えている。

先頭へ