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「イスラム教とイスラム世界の基礎」・2016年1月3日

①キリスト教に比べて奇跡信仰は薄い。厳格に偶像崇拝を禁止。
②キリスト教と同じ一神教である。
③イスラーム教の「アッラー」とユダヤ教の「ヤハウェ」、キリスト教の「父なる神」は、みなどれも同じ一つの神である。三つの宗教は、みな同じ唯一神を崇拝する。
④モーセもイエスもイスラームの預言者のひとりである。予言者ムハンマド(560頃~632)に法を託した神は、ユダヤ教のモーセに十戒を授けた神であり、キリスト教のイエスに新しい契約を託した神と同じ神である。アラブのユダヤ教徒、キリスト教徒が読んでいるアラビア語の聖書ではGodは「アッラー」と訳されている。
⑤コーランこと「クルアーン」は預言者ムハンマドが天啓により授かった神の言葉である。ムハンマドは最後の預言者であるが、あくまでも預言者に過ぎず、イスラーム教自体はその前から存在していた。クルアーンには、禁断の木の実を食べてしまったアダムと妻の物語やノアの方舟の話などが出てくる。
⑥ムハンマドは初めて「人類全体に遣わされた預言者」であり、彼のあとには預言者は決して現れてはいけない・・・とクルアーンに書かれている。それに対してモーセとイエスは「民族的預言者」とし、地域が地球全体でなく限定されている・・・という。
⑦「最後の預言者」ムハンマドが、最初に神野メッセージを受け取ったのは、およそ610年頃で、ムハンマドが山に籠って瞑想をしている時、天使ジブリ―ルが現れ、それ以後ムハンマドの逝去までの22年間にわたって段階的に神の言葉を伝えた。従って「クルアーン」は、天の書板に書き記された一冊の「書物」と同じ文言をそのままムハンマドが発した言葉ということになっている。ムハンマドは文盲だったので、彼の啓示は人々に声を出して読み聞かされ、それを人々が復唱し暗唱して口承で伝えられた。その後ムハンマドが逝去して20年くらいして、第3代カリフ、ウスマーン(カリフ在位644~656)の治世中に文字に書きとめられ、これが現在のクルアーンの原本である。しかし、ムハンマドの生前から、クルアーンの断片が羊皮紙やラクダの骨に書き留められていたとされ、事実、最近(2015年)になって英国バーミンガム大で写本の断片(568~645)が発見された。ムハンマドが生きたのは570~632年。
⑧イエスには人と神の両方の性質が備わっているとされるが、ムハンマドはあくまでも人間である。ムハンマドの人生の歩みそのものは、教義には直接かかわらないが、アッラーに服従するムハンマドの言行は、クルアーンに次いで重要な教えであり、その言行を記録したのがハディースである。
⑨クルアーンとハディースをもとにしてまとめられた規範体系が「イスラーム法(シャ―リア)」である。「一日五回の礼拝」・「飲酒しない」・「豚肉を食べない」という行動規範はすべて神から命じられた「シャ―リア」に従うものである。「泥棒をした人間は手首を切り落とせ」もクルアーンはっきりと書いてあり、当然ながらイスラーム法でも決まっているからそれは実践される。

つづく

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