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MRT「ペット・ラジオ診察室」・リスナーの質問から(4月30日放送分)

 「今年で20歳になるメス猫を飼っています。近いうちに、引越しをすることになり、試しに1泊させてみました。一応、いつも使っているホットカーペット入りの猫用ベッドを持って行ったのですが、夜中に起きて鳴いたりとあまり眠れなかったようでした。高齢なのであまり無理をさせたくないのですが、どうしたらうまく引っ越せるでしょうか。宮崎市・ピノコさんからの質問」

 この質問でまず心配なの年齢である。猫の20歳は20+(4×19)=96歳とかなりの老齢である。前々回と前回、犬・猫の寿命と死因について放送した。「たばる動物病院」の本院と神宮分院の猫の死因のトップ5は、33.3%で腎不全が1位、2位が23.8%でガン、3位が13.7%で新生仔の死亡(ウイルス性の肺炎など)、心臓病(肥大型心筋症)が11.8%で4位、(交通)事故が7.8%の5位であった。3頭に1頭が腎不全で死亡していることになる。
 
 猫で腎不全が多い理由は、①猫の起源はリビアヤマネコでエジプトの砂漠地帯とされ、犬や人に比べて水をあまり飲まなくても良いように、腎臓での水分の濃縮力が高い。すなわち腎臓への負担が大きい為、高齢になるにつれ腎臓の機能が低下する個体が増えて、最終的に腎不全に陥り易い。②腎臓濃縮力が高いためか、本能的に水への執着がないのか、結果的に飲水量が少ない。そして、③歳を取るとそれだけでも活力と飲水量が落ちる。本例は20歳であるから、かなりの確率で腎臓の機能が相応に低下していると考えられる。要は腎不全、そして尿毒症に陥らないか心配である。

 それに加えて、「猫は家につき、犬は人につく」と言うように、猫はところ・場所が変わると2~3日、飲まず・食わずということも珍しいことではない。腎臓の機能が低下しているところに、この「引越し」のストレスが加わると、腎不全や尿毒症に陥る可能性は高い。

 <回答・対処法>

①1日のみの泊まりであれば、引越しの当日、新居の準備が完全に整ってから、猫を移動させるのがベストである。

②猫の友好フェロモン剤「フェリウエイ」(商品名、仏製)を使用する。この製品は「ここは安心してよい、安心できる、縄張りの無い場所である」という効果が期待できる。泊まらせる所や新しい住居にこのフェロモン剤をスプレーする。

③家具や調度品は新しく買い換えずに、匂いの付いた引っ越す前と同じものを使用し、かつ家具の配置も似通ったかたちにする。

④泊まりの事前に、動物病院で腎臓の機能検査など必要な項目について、血液検査や健康診断を受ける。腎機能が低下していれば、安全策として点滴をすることも必要である。

 本内容は4月30日(木)午前9時35分から5分間、MRTラジオ「ペット・ラジオ診察室」で放送されます。御拝聴ください。

 

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