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キチンとせにゃーいかんじゃねぇーか「宮崎地鶏炭火焼」

  東国原英夫県知事の貢献で宮崎ブランドが大ブレイクしつつある。宮崎マンゴーに、ピーマン、宮崎牛・・・・・。

  しかし、地鶏の炭火焼は30年位前から知る人ぞ知るの感はあった。鶏(とり)の品種や飼い方によるのではなく、焼き方に特徴・独自性があるのが「宮崎地鶏炭火焼」だと長い間信じ込んでいた。今もそれに変わりはない。
  
  小生の識るところでは、炭はもちろん、昔ながらの大きな火ばさみ、火ばさみで少々乱暴に鶏を躍らしてもバランスの崩れない大きな鉄網、それにプラス・・・・・このプラスが宮崎地鶏炭火焼の真髄・・・真骨頂だと思われるが、鶏を網の上で自在に操りながら、程よい火加減の炭に滴下する脂だ。炭も樫の備長炭でないと妙味がでない。どれ一つが欠けても「宮崎地鶏炭火焼」にはならない。脂の滴下で炎がたち、これらの要素が相乗することで、中が半生で側が炭と脂が微妙に絡んだ、黒くに炙られテカッた「宮崎地鶏炭火焼」が完成する。

  中途で余談になるが、焼き方もパフォーマンスで、味の重要なファクターだ。腰を左右に振り両足でリズムをとりながら、一気に仕上げる。アメリカ留学中に良く通った鉄板焼きの日本料理店の正に侍風の料理技には感動し、失笑したことを思い出す。

  しかし、しかしだ。この油については宮崎地鶏炭火焼の「名手」たちは多くを語らないし、教えてももらえない。ある店で酔っ払った店主のチラリと滑った言によると、どうも鶏そのものの皮下脂肪が素(=そのもの)ではないかと察した。

  ブランドは築き上げるもので、自然の流れでは中々流布できない。それになんといっても時間が掛かり過ぎる。

  福島県喜多方市のラーメン、栃木県宇都宮市の餃子、静岡県富士宮市の焼きそば、黒はんぺんと緑茶焼酎で有名な静岡市青葉町のおでん横丁、大分県臼杵市のトラフグ、銀座・築地界隈の鮨・・・・・最近では長崎県佐世保市のハンバーガーなど、など。努力と結束が必須だ。

  西都市の岩倉酒造場の「月の中」、霧島酒造の三霧「白霧・黒霧・赤霧」のなかでもで特に黒霧、朝採れ黄金千貫で造り全日航の国際線機内酒となった国富町の「川越」・・・・・のブレークで宮崎の焼酎は全国区を勝ち得た。

  しかし、鹿児島の県庁・県民挙げての宣伝作戦には一歩も二歩も、いやそれ以上に遅れをとった。鹿児島は芋焼酎ブームの到来と見るや、いち早く著名人や有名ソムリエを起用して雑誌やテレビで宣伝した。焼酎雑学なる単行本まで出す念の入れ様で、そのなかに紹介されている銘柄の多くは鹿児島焼酎であった。宮崎の焼酎は片隅に置かれた。

  そんな中、現在CM中の「黒霧島」の宣伝には好感がもてる。九州圏内ではあるが他県の郷土料理をネタにするところがさすがだ。視野、懐の深さ・広さを感じる。

  地鶏に戻るが、ブランドにはコンセプトがあり、偽りが有ってはならない。通常のガスコンロでフライパンに食用油を敷いて調理した鶏は、余りにもおこがましくて「宮崎地鶏炭火焼」とは名のれないであろう。

  コンセプトの中で切磋琢磨して「技」を磨けば、それは逆に個々の店の独自性が出てくることになる。全国の「宮崎地鶏炭火焼」ファンの肥えた舌を唸らせるのは間違いない。たとえば福岡の天神や中洲、東京の新宿・高田馬場辺りで宮崎より美味い「地鶏炭火焼」屋ができたら、とんでもなく哀しい。

  宮崎の・都会にはない・本当の・今我々宮崎人が吸い込んでいる「空気」の美味さと宮崎の食材がマッチすることが重要だ。

  知事一人に頼るのではなく、県民特にブランド創りに知恵を結集しようとしている各業界は、この点「てげてげ」とか「いっちゃが、いっちゃが」では困る。

  近い将来、繁華街(飲み屋街)よりちょっと離れた橘通り東辺りに「宮崎地鶏屋横丁」が誕生して貰いたい。県庁傍の閑静な、楠並木から放出される酸素とマイナスイオンの多い処が好かろう。

  小生がよくお世話になる「宮崎地鶏炭火焼」は清武町あさひ1丁目(ミスドーの裏通り)の屋号が「とりの家(や)」(0985-85-4515)というオーソドックスな店だ。脱サラの青年焼職人・関谷剛一さん(37歳)の焼く「骨付きもも」が、病みつきになる旨さだ。鶏や炭、脂は勿論だが、特に塩にこだわった”焼きの一品”だ。

  「ふく膳」(西銀座通り、0985-31-3690)の大将・福島久男さんも達人直伝の手法で焼く、正しく焼職人だ。カウンターに陣取り、地鶏が目前にくるまでの約10分間は大将から目を離すこと無かれ。パフォーマンスも料理人の資質の一つであることが、絶品を噛みながら理解できること、請け合いである。(「ふく膳」はコラム「グミ」を参照)。

  注;昨今、農林水産省と厚生労働省の指導でその飼養法により「地鶏」のメニュー表示に注意が必要のようです。

   

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